"狐"と呼ばれる者。
音もなく標的に忍び寄るそのしなやかな身のこなしと、
ともすれば禍々しくも見えるその瞳の輝きから、少年は
いつしか"狐"と呼ばれるようになった。
親の顔も知らず、そもそも自分が何者であるかも分からぬまま、
−いや、そんなことは知ろうともしない−"狐"は、怒りも哀しみもなく、
そして愉しむこともなく、命令のまま標的を追い詰め、冷たい鉛を、或いは
鋭い鋼の刃を突き立てる。
ただ一つすることといえば、仕留めた獲物の血でスカーフを赤く染めること。
何故そうするのかは分からない。
ただ、何かをしたという証が欲しい−−−だけだ。
自分という存在の証−−−なのだろうか。
そして、"狐"は今日も獲物を狩り続ける。
月の欠けた空に赤い閃きを見たならば、それは死という永遠の静寂へのいざない・・・
…
金色の瞳を持つ少年、"狐"です。
線画自体はかなり前にできあがっていて日替わりでも公開していたものを
ようやく完成させました。
背景&拳銃&上の文章はN2番頭に描いてもらいました。感謝!m(__)m
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